間久部緑郎と間黒男 第五・最終章(旧版)

  間久部邸で急な眠気と目眩を発症し、黒男と再会しようにも、強い眠気に耐えられず寝込んでしまった間久部…。
しかし意識が戻って目覚めると、何とそこは警察局の留置場であり、間久部は知らぬ間に牢屋に閉じ込められていたのだった!

間久部「なぜ僕がここに閉じ込められたんだ?」
マルクビ警部「そうだなぁ…まず君はあのビル爆破未遂事件から逃げ込んだ犯人と関係あるのではないかとね…」
「ビル爆破事件…あの当時すごいニュースで騒いでいてスマホで聞いていましたが、まさかマクベ結社と関係あるとでも?」
「そうだ。君はそのマクベ結社、現段階ではまだ捜索が足りなくて言い切れないが、その重要参考人ではないかとね…」
「も…もしや俺がその首謀者、マクベと言うんじゃないでしょうね?」
「その可能性は10%はあるでしょうな…。まだ捜索中で断定できないが…」
バン!
机を叩いた間久部。
「冗談じゃありませんよ!僕が首謀者だって!?ふざけないでください!」
(ば…馬鹿な!なんでこんな事になってるんだ!俺の計画は成功したはずなのに…!)
「まあ、それを言って悪いかもしれんが、あの事件当時にパトカーが盗まれてね。」
「へぇ、パトカーがねぇ…で、それが?」
(あの時に盗んだパトカーは証拠を残さぬよう徹底して捨てたから大丈夫かと思うが)
「そのパトカーが池に沈められた事がわかったんだ…そんで引き上げてね。そこはとにかく、そこで当時の出来事を探ると面白い事がわかったんだ。事件当日、同じ時刻の頃、偶然にもその近くで君が倒れていてね…。」
「つまり僕がそのパトカーを盗んでそんで道に倒れてたって?パトカーを盗んだのが組織の首謀者だというのですか?ふん!馬鹿馬鹿しい!」
(やばい!何とか間久部が俺だということはバレていないようだが、とりあえず何とかごまかさなければ!)
「そう踏んでいる。」
「なんでそうわかると言い切れるのですか?第一パトカーを盗むという大胆な行為など…。」
「確保した組織の者で唯一そいつの確認ができてないこと、あと間久部は大胆な事件を起こすときは大体現場に居合わせていると言っている。逮捕した人の証言だ。お前たちが事件を起こした我々の捜査記録もあるもんだぞ。
それに、首謀者ほど逃げ橋が早いもんだ。」
「だからってそれで何でそこで倒れている人を首謀者だと決めつけているんですか?おかしいじゃないですか?」
「お前とその逃亡者の身長がマッチするからだ。ビルの入り口に設置した身体スキャナからの情報だ」
「偶然の一致ですよ。そもそもその逃亡者が首謀者だという決定的な証拠もないし。第一そこで倒れて寝ている人を決めつけて、捕まえるなんておかしい。」
「何があろうが可能性のもある者は調査せねばならんのだ。道路で寝転がっているなんて君も怪しいと思うだろ?」
「確かに否定はできないな。その後、僕はどうなったんですか?記憶がないんでね。」
「その倒れていた君は見かけた人がまず110番通報があってね…駆け込んだ警察が調べることになった。」
「本来は119番じゃないですか?」
「通報した人は110番と119番を間違えてしまったらしい…」
「ふざけやがって…」
「その後タンカで運んで病院に送ってやった。約二日間意識は戻らなかったそうだ。」
「病院にねぇ…二日間もか…。で、ここに俺がいる理由は?」
「先ほど言った通りだ。君には気を失っているとこ申し訳ないが、捜査を進めているうちに君の行動と盗まれたパトカーとの間にはなにかしら接点があってね。重要参考人として身柄を拘束させてもらったよ。」
「ふざけないで下さいよ!何で僕が意識を失っている間にこんな勝手な事を!これだから今の警察組織はいい加減すぎるんだ!僕はこんなちょっとのことで理不尽でいい加減な対応する今の警察が…」
「それはどういう意味だね?」
はっ!と間久部は危うく感じてしまう間久部だった…。あまり自分が思っている事を迂闊に言わない方がいい感じだ…
「と…とにかく…僕はビル爆破事件とは何の関係もありません!多分どっか酒で酔って頭で打って倒れていたりしてたんです…。」
「あいにくだが君の身体からはアルコール度を検出しなかったよ…」
(そ…そこまで…警察は油断できんな…)
「じゃあ仕事で激しく疲れて何かしら頭打って倒れたりしてたんじゃないか?その時の事は僕はなんも知りません!単なる偶然の一致です!僕が首謀者なんて死んでも信じたくありません!確かに僕は警察は嫌いです!でもそこまでの無法者ではありません!早く疑いを晴らしてください!」
「まあ、とにかく今はまだ調査中だ。なんともいえん。とりあえず君は意識が戻ったようだから、今は状況のみを伝えにきたよ。じゃあ、また後で会おう。」
「ふん!僕をこんなとこに閉じ込めた事を覚えておいてくださいよ!無罪だったらあんたらを訴えますから!」

そして間久部は事の状況を牢獄の中で頭を整理して把握したのだった。つまり自分は大桑ビルから逃走してパトカーを捨てた後、足で逃げているあの最中に謎のめまいと意識がおかしくなった時、そのまま寝込んでしまい、それ以降の出来事は”意識が戻ったように見せかけた夢”だったということだ。

つまりそれ以降の大桑ビルが爆破した出来事も、山をかいくぐってアジトへ必死に辿り着いたのも、全部夢だったのである!

そもそも間久部はそれらの出来事について、夢であるが故現実的におかしい事にも後に気がついたのだった。
第一、マクベ結社は秘密工場をもつほど規模はでかくないし、太平洋の海底や宇宙空間にまでアジトを持つ事など現実的に不可能な事である。
それ故、世界征服を目論むなら現段階ではそこまでの必然性を感じられない。むしろそれを建設するにも相当な費用が必要な事だ。
宗教団体も確かにあった方がいいと思うが、間久部は寧ろ自分自身をそこまで神に崇め奉るほどの興味はない。寧ろ彼はマフィアのボスであり、裏から人を操って世界を征服するような考えを理想としている。わざわざ公に立ってまでまるでどっかの王様のように振る舞うのは、彼の考える世界征服とは何か違う。教祖としてご神体になって王として振る舞うなど、多くの反発者からは寧ろ狙われやすく、自分の身を投げるようなものである。あくまで微量な考えでしかない。
寧ろ彼は王様のような権力者を操り、影のボスとして君臨したいのが彼のやり方だ。
そして徹底した組織による秘匿の中でいつでも大きなリスクも、世間に注目される事もなく世界の覇者、影の支配者といられるのが彼の理想である。変装して他人になりすまし、人を騙す者としてふさわしい裏の支配者として世界を操るのが間久部緑郎としての求めたい生き方なのである。
また間久部邸は現実通り山奥に建てられているが、公道でない私有地から入り口があり、秘密の道路を通れば行けるので、簡単にいけない場所ではない。また周囲にそんな広大で大きな川や崖などがある険しい山など存在しない。工場などもそこには建てられておらず、各闇企業に委託して工場を用意して違法なものを沢山製造しているのが実状である。なにも難民や拉致した人は働かせていないし、そのような人は国家機密などの情報を入手するためだけに利用し、用済みの者は、まず射殺されるか、結社の科学技術部によって人体実験にされるか、傘下の組織に引き渡され、人身売買や売春などにかけられるのが実情である。

人間の夢は時に極端に現実離れした思考の夢を見ることもあるものだ。自分では微塵に思っていないことや多くの矛盾の出来事にも気づかず夢を見てしまうのは、誰でもありがちなことだろう。しかし自分では普段から気づかない深い意識の底から思っていることも、夢に反映されることはある。
間久部は逃亡中にそれらの夢を(二日間も)夢に切り替わったことも知らずに見ていたのである。

そして間久部はその場から身動きができないため、そこで数日間を過ごし、閉じ込められたこの場で今後どうすべきか、どうやってこの場を切り抜けるのか、ずっと考えるのであった。またなぜ自分があの時にあんな昏睡状態に陥ったのか?その事も考えることはあったが、それに関してはどうしても身に覚えがなく、その答えを見つけることは出来なかった。それよりも今はこの場を切り抜ける考えの方が優先だったため、その事は後で考える事にした。

そして次の日、間久部は取調室へ連れて来られ、最初は冷静に話し合ったものの、威圧的な態度で理不尽な取り調べをしてくる刑事にブチギレて室内は大荒れになったりした。相手の油断には乗らずに、組織の事を一切口にはせず、関与も否定して話は終えたものの、彼の暴れぶりに刑事を全治1ヶ月の怪我を負わせたゆえ、器物も派手に破損させたために別の意味でより疑いがかけられるようになってしまったのだった…。

そして警察側にはこの間久部をマクベ結社のボスで”暗黒街の皇太子”本人と見立てて本格的に調査を始めてしまうのだった…。
ニュースでもこの事はフランステレビ局から世界へ報じられたのだった。

『ニュースをお伝えします。国際警察から手配されていた暗黒街の皇太子ことロクロー・マクベとおぼしき容疑者が7日前に捕まっていたことが判明しました。しかし、本人は否定しています。』
世界はビル爆破というおぞましいテロ計画を企てていたマクベ結社の関心事で、インターネットの大手Y○hooやG○ogleなどの検索サービスは連日で上位にランキングし、各ニュースサイトもその話題で埋め尽くされたのだった。
YouTubeにも多数の現場動画が投稿され、100万を超える再生回数を記録した。
ウィキペディアにも”マクベ結社”の記事が立ち上げられ、真偽もわからないような膨大な情報量で固められた長い記事になった。間久部と思われる写真も投稿されたようだが、凶悪な面をした別人であり、何度も写真が差し代わるなど、同記事は荒れたりして更新が激しかったようだ。
T○itterのトレンドにも常に連日でその用語が多数呟かれる始末となった。

間久部はその後もさらに二度や三度目の取り調べを受け、そして今日は六度目の取り調べを受けるのであった。この日はブーンマルクビ警部と直接な取り調べだった。部屋には他に二人の年配の刑事も一緒にいる。

しかしマルクビ警部はライターの火を何度もつけてタバコくわえながも頭を悩ませている状態だった。
間久部は前回の取り調べから更に考えるに考えた上に、改めて冷静になり、自分がこの檻の場から抜け出せる方法を思いついたからだ。元々間久部はマインドコントロールで警察を操って騙していた事もあったぐらいである。例え警察に捕まっても最初は焦ったりはしたものの、早くも狡猾な話術で警官とは馴れ合ってしまったのだった。
マルクビ警部「うむむ…!😥」

間久部「何度同じことを言わすんだい。警部さん。僕は違うんだって。」
マルクビ警部「するとお前はビル爆破未遂事件以外に、今までに犯した殺人、密輸、麻薬売買、賭博、詐欺、イカサマ、暴行、収賄、人身売買、売春、立ち小便のどれも認めないのだなっ?」
「くくく…立ち小便ぐらいはした事ありますがね。あなただってしたことあるでしょ?」
「そんな事はどうでもいい!くそう…!
お前め…数日前まであんだけ暴れたのに随分と冷静だな?」
「そりゃそうですよ。僕はそんな危ない人物じゃありませんから。もし僕が犯人なら今も焦って何も言えないですよ。
とにかく私はロクロー・マクベじゃないんですからね。
指紋はどうです?」
マルクビ警部はこれまで間久部が犯した事件の現場で入手した指紋が記録された紙を取り出して、間久部に見せるのであった。
しかし、どの指紋も今の間久部の指とは一致しなかった。
間久部「どの指紋も私のと違いますよ。
ほらっ、まるっきり違う‼︎」
マルクビ警部は間久部の胸ぐらを掴んで言う。
「くそう!なぜだ!なぜ違うんだ!そこが知りたいんだっ!」
「それは僕じゃないからですよ。」
「貴様をギロチンへ送ってやれる決定的な証拠の指紋も合わん…なぜだ‼︎」

その時警部の部下が一人やってきて何やら間久部に関する封筒を渡すのであった。
「警部、東京から資料が!」
そして警部がその封筒を開けてみると…
「ム?
これはお前の顔だろう?」
「なになに?ほほー、どうですかね?」
(ふん?こんな証拠今や価値はないな…俺が学生時代の頃に俺を恨んでたあの連中によるものだな…下らん…。しかしこれが知れると整形がバレちまうな…まあ元々俺は変装人だ。それも想定していたことだし…こんな状況じゃ仕方ない。)
間久部はその秘密については割り切ったようだが、それでも余裕な感じのようだ。
「その写真はロクロー・マクベの子供の時のものだ。その顔はお前の顔だぞ!
つまり同一人物だ!
これでわかったが…
お前は目をくらますために何度も整形手術をして別人になろうとした
だから…………きっと……
指紋も変えたんだ!」
「何言ってんだい?警部さん。
あんまりふざけた発言はよしてくれよ。
人間の指紋はそう簡単に手術で変えられますかい?
そんなことすりゃ犯罪者は誰でも指紋を変えちまうだろう?
嘘だと思ったらパリじゅうの整形外科医のセンセイに聞いてみたら?」
「うるさい‼︎
ちくしょう!貴様ぁ!なんでそんなに余裕なんだ!」
「どうなんです?こんな細かい指紋を緻密に変えるなんてあり得ますかね?もしくは指先を切り落としてくっつけるとか?
はははは!そんなことあり得るわけがない!人間は接着剤みたいに簡単にくっつくわけないでしょ?…」
「ううっ………答えは…… 不可能だ………😥」
「ほーれみろ。俺はロクローマクベじゃないんだ。ただの通りすがりの元不良さ。
恥をかいたね…警部
俺のこの指の指紋は俺の持ち前のものさ。」
間久部は椅子から立ち上り取調室へ出る準備をした。
「つまり俺が誰が言おうとロクロー・マクベではないんだよ。マクベ結社なんて知らんがな。
じゃあ出ていいですか?」
「さっさと出ていけ!」
そして間久部はひとまず取り調べ室を出ていったのだった。

部下の刑事「警部っ!また新しい情報が!」
マルクビ警部「もう…たくさんだ…あいつには何度も証拠を突きつけてきた…しかしどれもハズレだ……何を持ってきたってもうムダだ…」
「し…しかし今度のはすごい情報なんです!しっ…しかもびっくり仰天!見てください!」
「そうかい…どれどれ…」

ー部屋を出ていった間久部は留置場の自分の鉄格子の部屋の中へ入り、今度こそ釈放を待つのであった。
間久部「ふふふ…成功したぜ…!あの警部は態度が気に入らねぇからな。見下してやった!
俺はこういう演技においても天才かもな…!ははは…すごいぜ!
相手の威圧にブチギレてちゃあ、余分な疑いをまた増やしてしまうからな…冷静になって今度は逆な態度を取って見せてよかった。
これで俺の疑いもより晴れた!出られるぞ…!黒男…お前は俺がいなくなって心配しているだろうな……あんな間違った報道をされちゃあ、本当に困ったもんだよ(まぁ本当に俺が間久部である事は当たってるんだけどね)
でも安心しろ!俺は戻ってくるぞ!そして今度こそ組織の計画を練り直そう。俺の身代わりとなる替え玉の人も用意しておこっと。組織名も改め直さんとな。
ああ…黒男と早く会いたい!俺と一緒に新組織で世界を牛耳るための…」

その時!またマルクビ警部が出てきたのだった!
「おい!お前!ちょっと取り調べ室へ戻れ!」
「なんなんですか?」
「いいから来い!」
間久部は警部に服を掴まれ、引っ張られて、また取り調べ室に連れ戻されたのだった。

マルクビ警部「ブラックジャックという名の医者を知ってるか?」
間久部(なに黒男…?こいつ知ってるのか。まあ、世界的な名医だったやつだからな。知らんはずもないが俺になんなんだ?まさか黒男が俺を迎えに直接ここへ…)
間久部「ああ、聞いたことはあるぜ。そいつが俺となんなんだ?」
「お前がロクロー・マクベという証拠を握っているそうだ。」
間久部(は?な…何言ってんだこいつ…いや…黒男一体何考えてんだ?まるで俺を追い込むように…いや…そんなことあり得るはずが……)
間久部は微妙に焦り出した…嫌な予感を感じさせる…
「証拠を握ってるってなんですか?僕はそんな男は知らんね。」
「その男はまずお前の指と他人の指をつけかえたそうだ!」
「な…何言ってんだ…警部さんこの指を見てくれ。
どこがつけかえた指だい?
第一、そんな手術ができると思うのかい?
そんな奴は知らん!」
「ククク…証拠はそれだけじゃないさ。お前はその男と数ヶ月一緒に暮らしていたそうだな…。
その指を手術した当日にその男を拉致して…。」
「ふざけないでください!そんなの俺じゃない!」
(な…黒男どう言う事だ?まさかお前も捕まって拷問されてはかされたのか…?このやろう…黒男を…!)
「そのブラックジャックという男が今自首してきたんだぜ。」
間久部(ま…まさか…!黒男が…ば…馬鹿な!)
マルクビ警部「マクベがお前だという証拠を掴むことができそうだ。その男との面会でお前がマクベで間違いないといえばな。」
間久部「知らん知らん!僕はマクベじゃない!もうたくさんだ!」
「更にもっといい決定的な証拠も掴める。
ブラックジャックはこう言ってるそうだ。
手術の時、お前との友情を記念して”お前の指の骨にBJのサインをマジックで書いておいた”と。」
「え…!?黒男が俺の指にサインに…?」
「あっ…今の発言なんだ…?自白か?」

「違う違うっ!!💦俺はマクベじゃなーーーーーーい!
そんな奴知らないんだぁあああーーーーーーーっ‼︎😫💦」

ヒューン!

間久部はその場から逃亡したのだった!

しかし彼の身体能力で数名の警察官や刑事を吹っ飛ばしたものの、銃がないために容易に人を傷つけることができず、更に場所が場所なだけに多くの警察官に確保されてしまったのだった…。

刑事「暗黒街の皇太子間久部緑郎!お前を大量凶悪殺人犯!マクベ結社の首領と認定して再逮捕する!」
「くそーーーーー!なんでだ!黒男ぉーーーー!!」
そして先ほどの取り調べ室に手錠をかけられ戻されたのだった…。
マルクビ警部「ついにボロを出したなマクベ!
じゃあこれからうちの病院へ行って、指先を切開してそのサインがあるかどうかもおがませてもらおうかね。」
「何をする、警察のくせに俺の指を切り剥く気か!!理不尽な奴らめ!」
「これでお前は100%間久部緑郎と断定できる。無造作に人を殺していったお前は理不尽と言える立場かね?」
「うるせぇ!俺を離せーー!」
「今回でお前に負けてたら俺は警部をやめようかと思ってたよ。残念だったな。さあ、病院へ行こうか。」
「いやだぁーーーーーーーーー!!!」

そして間久部は病院で指先を切開され、骨にBJのサインがある事を検察官らは確認したのだった。
そしてその後の裁判で間久部緑郎は数えきれないほどの膨大な罪と、世界征服を事実上目論んだ史上最悪の犯罪者とみなし、弁護できる酌量の余地すらもなく、1ヶ月で死刑が確定したのだった……。

マクベ結社も本部を含む全世界のアジトがICPOによって家宅捜索され、終いには全てのアジトは跡形もなく破壊され、その場ではウイルス殺菌さえもされ、国家レベルでの脅威な組織は、事実上壊滅したのだった。
さらマクベ結社においての一連の悪行においては、あまりにもおぞましく不条理な内容な上に、地球の生態にも危険を及ぼすような危険な思想や内容、タブーな資料が含まれているため国際問題に繋がりかねないとして、多くの書類は外務省の管轄に移されることになったのだった。

そして間久部の死刑から数日後、間久部はまだ心はしぶとく、自分に死刑判決を言われても心は動じることはなかった。むしろそのように言われるのは想定内だったと感じてたようだ。それは彼が世の中に対して不満を持ち続けているがゆえに、はなっから世のシステム、政策を信じておらず、心が反発的なのは変わらないからであろう。彼は脱獄計画を考え始めていたのだった。

そしてある日、間久部が収容されているフランスの刑務所には、一人の黒コートを着た男の姿があった。そう、それは間久部が愛した男、ブラックジャックこと間黒男であった。

間久部は縞模様の囚人服を着て牢獄の中にいた。一応それでもサングラスはかけているようだ。
黒男「間久部…」
間久部「く…黒男!お前!無事だったのか!なんでお前は外にいるんだ!組織はみんなぶっ壊されちまったぞ!」
黒男「…だな。」
「お前も共犯者なはずだ。なんでここの刑務所にいないんだ!俺の部下はみんなこの務所に豚詰めだぜ!俺はお前が会いたかったのによぉ!」
「間久部…まだ俺に対する思いがあるのか…」
「それより…お前には話すことがたくさんあるぞ!」
黒男「そうだね。お前さんが話したい事はわかる。だから今日それを全て伝えにもきたんだ。」
間久部「言え!俺はこんな事になっちまったぞ!どう言うことだ!どうしてお前が外に…」
「簡単な事だ。まずあのビル事件の事だが、お前たちがその計画的な犯行を目論んでいる事を警察に伝えたのは私でね。」
「なっ!なんだってぇーーーーー!!」
間久部は驚いてしまった。信じたくないことが現実となってしまったからだ。
間久部「な…なんで…!
お前は確かあの時、俺と同情する黒男になったじゃないか!一緒に抱き合って…」
「そうだ。確かにあの時の発作で私はお前たちと関わっていた記憶が蘇った。で、更に私の元の記憶も失う事なくあの時は済んだって事さ。」
「なにぃーーーーー!!」
「私が退院した後、あんたのおぞましい計画を知ってぞっとしたよ。」
「何でその計画を知ってたんだ!お前には伝えてないぞ!」
「お前さんの部下がうっかり私に話してしまってね。部下は慌ててこのことは聞かなかったことにしてくれとは言っていたがな。」
「なんてことだ…!」
「私がこの行動に及んだことを言うよ。まず一つとして私があんたらから逃れる手段として、そして次にあんたが起こす事件を阻止するためだ。医者の私には見捨てられない事だったからな。外出中にあんたの付き添いの部下にはある方法で眠らせてもらった。その間に数分だけGPSを切らせてもらったよ。」
「GPSを切っただとぉ?お前の体に埋め込んだんだぞ!…どうやって!?」
「そんなのオペのできる私には容易だ。あと私は”機械のオペ”も行ったことがあるんだ。その時に得た知識でGPSの構造など容易だった。ブザーの鳴るパターンを変えさせてもらったよ。」
「そ…そんな…あ、あり得ない…!」
「そして警察に電話して、あんたらがとんでもない犯行を計画している事、そして大桑についての裏事情も伝えたんだ。あんたらが練ってた犯行的資料と大桑とのやりとりのログ、それらの書類をこっそり持ち出してFAXで送ってやった。あの時はまだ状況的にブラックジャックとまでは名乗れなかったがな。」
「くそ!なんて事だ!そういうことだったのか…あまりにもあの大桑が間抜け過ぎて変だと思ったら…お前が…!
なぜこんな事を……いや…1ヶ月間の記憶が戻って昔の記憶もそのまんまだとしたら…
…もしかして、黒男…!お…俺の事……?…!」
「お前とベットで起き上がったあの時から嫌いのままさ。」
「嘘だぁーーーーー!!」
「男のお前さんなんか、はなっから好きでもなんでもないよ。そしてホモでもない。あんな記憶の時に唆されてた私は馬鹿馬鹿しいと思ったよ。」
「そ…そんなぁ…!そんなぁ…くろおぉ…!🥺」
「お前さんはもう私の友人でもなんでもない。だたの哀れな心を持った極悪人だ。正直、お前さんがこんな最後を迎えてしまうなんて残念だよ。」
「俺と抱き合ったじゃないかあー!」
「そうさ。あれも、私をあんたらから逃れるための手段の一つだっだ。
ま、お前さんは体が綺麗だったから、そんなに悪くはなかったよ。他の人とやった時よりはマシだった方かな。」
「他の人ってなんなんだよ!」
「私は訪問先の医者でもこれまで色んな人と付き会ってるんだ。お前さんみたいな危険なごろつきともたくさん関わってる。難を逃れるためにやむを得ずホモの男に犯されたり、相手をしたりした事もあったもんだ。」
「うわああああーーーーー!黒男が俺以外の男とーー!」
「そういうことだ。私は心はホモではないが、肉体と関わり合うぐらいならある程度の耐性はある…。お前さんの部下のゴンゾウにも散々な目にあったしな…。」
「ゴンゾウめ…!いや、他の男とも…!?」
「あとお前さんが逃走中に目眩に襲われ、昏睡にもなった症状もなかったかい?」
「ああ、あった。あれは一体なんだったんだ!お前は知ってるのか?」
「あれも私が仕込んだ事だ。」
「なんだってぇーーーーーー!!」
顔がヒョウタンツギになった間久部だった…!

「私が病院から退院した後、お前さんと抱いたあの日のことだ。」
「あ、あの日…」
間久部はその日のことを思い出す。とても快楽に満ちたあの日のこと…あの時にまさか…!信じたくない!
「お前さんがぐっすり寝込んだ時にある睡眠幻覚剤を仕込んだんだ。時間式のな。」
「そ…そんな…!あの時に幻覚剤だと?!全然わかんなかったぞ!」
「痛みが感じにくい部分に打ったからな。打った場所はすぐに治癒してしまう薬剤だ。感じなくて当たり前だろう」
「信じられねぇよ!」
「あんたはあの時無防備だったからな。私を心から信じきってしまったことに隙を作った」
「くそーーー!幻覚剤なんか…!まさかお前の担当部下に打った幻覚剤も同じか!」
「ああ。その部下には即効性のある幻覚剤を投与した。お前と同じように気づかずに事を経たがな。」
「くっ…こ…こんな事が…!
一体どうやってそんなもの作ったんだ!」
「睡眠幻覚剤は入院中の時にそこの医師の人とこっそり作ったよ。私は医者だからな。すぐにそこの病院とは打ち解け合えたもんだ。私がブラックジャックと知って色々もてなしてくれたもんだ。なんせその病院は上の者がろくな経営をしていないようだったからな。不満を持った医療活動をしている医師も多かった。確かお前さん絡みの医療法人だっけ?お前さんを嫌っている医師もたくさんいたよ。色々と私の秘密ごとにも取り合ってくれた。」
「そ…そんな事が裏で…?」
「幻覚剤は一定の時間が経つことで効果が現れる。まずは激しい睡眠と目眩に襲われるんだ。そして一瞬にして睡夢に引き寄せられる。そして引き寄せられた夢の先が心理的に現実と全く同じ世界で認識される。夢に入ったことも現実で自分が眠ってしまったことに気づかないんだ。だから眠気から覚めたように感じてしまうんだ。」
「そ…そんなぁ…!!嘘だぁーーーーーーーーー!」
「そういうわけだ。気の毒な末路だな間久部…これで永遠にさよならだ。」
「あ、待って!黒男!俺の指にサインをしたんだって?友情の記念だって?本当は記憶を失う前から俺の事好きだったなんじゃないのかな?」
「何を馬鹿なことを。私はあの時からお前さんはもう友として終わりだと思ったよ。」
「じゃあなぜサインを?」
「何もかもそうやって自分の罪を隠し切るお前さんのやり方が気に入らないんでね。私は誰かの人殺しを促進するために人を直すんじゃない。それにかつての友が起こす事件をニュースで日々出てくると私の心も痛いものだよ。手術だけでは気が晴れんから、いつか捕まる事を願ってお前の指にサインを書いたのさ。」
「嘘だー!絶対嘘だ!そんないい方はおかしいぞ!やっぱ俺の事好きなんだろ?さっき他の男ともやってたって言ったじゃないか?ノンケなのも嘘なんだな!隠してるのわかるぞ!」
「そうやって私のことを勝手に思ってなさい。
さっき言った事はもう忘れ、自分の都合の良いことしか思い浮かばないようだな…」
「黒男…!俺の事が好きだったことがあったって言ってたな!子供の頃!」
「まだそんな昔の記憶までほじくってるのか?」
「もう一度やり直そう!今度はお前のために尽くそう!今までのことは謝る!だから今度は人助けをメインに…」
「残念だがお前さんのような危ない思考を持った人間は信用ならないよ。医師の私とマフィアのお前さんでは考えが真逆、医者は人の命をより重んじるものだ。一度人を平然と殺めたお前には一切の人助けを言う資格はない。医師としての信条がないとダメだ。
あの時に言った通り、お前さんと私とでは心も思考も噛み合わないんだよ。」
「俺はお前のために心を変えると今誓った!だ…だから!」
「もう手遅れだ。お前さんは思考がおかしくなっとる。お前さんはここを出たくて必死でこんなこと言ってるんだ。」
「違う!俺はお前とーーー!」
「お前はもうお終いだ。こんな場所にいてはな。」
「黒男!そんなぁ!そんなこと言われたらお、俺は……!
ああ……い…いや…、……嫌だああああああーーーーー❗️」
間久部は黒男のいうことが信じられなかった…。いや、むしろ信じる事が出来ないのだ…
さらに黒男からのとんでもない言葉は続く
「私が今日ここへ来た理由…それはお前さんを捕まえた手柄の報奨金3200万ユーロ(約45億円)をもらいにきただけだ。」
「なんだとぉーーー!友人の俺をそんな風に踏みにじる気か…!」
「過去のことだ。今のお前はもうどうしようもない極悪人だ。友人でも何でもない。」
「お前はそんな風に金取るやつじゃないだろ!」
「そういう悪賢い金の取り方はお前さん譲りなんだろうな。」
「そういうことじゃないだろ!」
「お前さんの指の手術代、まだ貰ってなかったからな。私を誘拐した慰謝料も込みで、今回このような形で金をもらう事にした。」
「嘘だぁーーーー!黒男ォォーーーー!そんなぁーーーー!!」
「お前さんらの事を警察に伝えたのは、無論自分の命が優先でもあったが、お前さんの懸賞金をもらうためでもあった。こうでもしない限り治療代が手に入らんからな。」
「うわああああああーーーーーーー!!黒男ーーーーー!そんなぁ!嘘だろ、嘘だろ!信じられねえよ!」
「現にお前はこの牢獄に捕まり、私は外にいる。わかっているだろ?」
「もうお前しか頼れないんだよ!何とか脱出させろ!」
「お前さんはやっぱおかしくなってんな…。」
「こんなくだらん世界に殺されたくないんだ!もう一度一緒に世界を取るために組織再編を…!」
「さっき人助けすると言っておきながらなんだこの言い草は。」
「だ…だから人を殺さぬように世界征服を…」
「お前さんの言動はもうあてにならんな…都合のいいことばっかだ。」
「黒男ーー!とにかく俺を出してくれ!!」
「現実を受け入れられないお前さんはもうダメだ」
「この現実が間違ってんだ!」
「そんな世界を支配しようなどという、イカれた頭はどんなに医療が進もうが治せんよ。」
「違うんだ!黒男!世界を手に入れて革命を起こすからこそ本当の楽しい世界があるんだ!」
「哀れだな…正直私の友達がこんな末路になるのは残念だったよ。
永遠にさらばだ…かつての友、間久部緑郎…」

「いかないでくれーーーーー!!黒男ーーーーーーー!!ちくしょーーーーー!!なんでなんだーーーーーーーーーーーー!!うわああああああああああ!」

そして黒男は間久部に叫ばれながら刑務所から去っていくのだった。間久部は依然として騒ぎ続けたのだった。

「うわあああああーーーーー‼️💦
なんでなんだぁーーーーー!!黒男ぉぉーーーーーーー!!」

ーこうして間久部は、ビル爆破計画の際に黒男に弄ばされてしまったかのように、今の状況に陥ったことに絶望した…。
自分が心から愛してた男に裏切られ、組織を壊滅させてしまい、間久部は地位も金も、黒男を愛する心も、さらに自由までも全てを奪われてしまったのだった…。

間久部は獄中で精神が滅茶苦茶になってしまい、おかしくなってしまったのだった…。脱獄をする余裕さえなくなってしまったのだ…
間久部は連日で独房で発狂しまくる始末であり、特別室に入れられ、身体中を縛り付けられる有様であった…。

「僕は捕まっていない。ここはきっとアジトの檻だ!僕はアジトに檻に入ってんだ…!あははは!」

「僕は黒男がずっと好きだ!だからあの黒男は偽物なんだ!きっとそうだ!本当の黒男は僕を愛してるんだ!」

「僕は世界の王者になれる!僕は神に選ばれてるんだ!戦争をたくさん起こして支配するんだ!」

「うわああああああーー!俺の黒男がーーー!黒男がーーーー!うわあああああ!俺がぁああーーー‼︎」

など言った、自分の頭に中にあった「既に不可能な妄想ごと」に耽って無意味に叫んでいた日々であった…更にはフラッシュバックも起こして苦しんいる日々でもあった。

だが時が経つにつれて、次第に大きな声を出す力も失っていき、彼は徐々に弱まりつつあるのだった…。

―そして死刑執行日
間久部はげっそりと痩せ細り、崩壊してしまった心ゆえ全ての髪が白髪化して、あの艶やかで整っていた髪もボサボサになってしまったのだった…。顔も生気を失った虚ろ目で、かつて暗黒街の皇太子と呼ばれていた面影もほとんどなく、その姿はあの間久部緑郎とはほど遠い姿と成り果ててしまったのだった…

間久部は久々に外に連れ出されたのだった。長い長い薄黒い獄中から連れ出され、久々に日を浴びた…。この日は晴天だった。
ああ、外はこんなに気持ちいとこだったと、改めて外の空気を感じるのだった。

そして刑務官と一緒に連れ出されたとこは、とてつもなく見ただけでも身震いするような”恐ろしいモノ”がある場所だった。
精神が衰弱し切った彼は今日自分が何をされるのか知らない…いや、もう頭に入ってこなかったのだ…。自分がこの日、”最も嫌った世の中の法”によって命が罰せられることを。

そして間久部はそのモノを目にするのだった。
刑務官「さあ、間久部!そこへ行くんだ!」
間久部「こ…これは…な…なに…?」
虚ろになった表情で間久部は言った。
「見てわかるだろ?お前を処刑する”ギロチン”だよ。」
「え…?ぼ…僕が処刑!?…何で…?」
気がおかしくなった間久部は何が何だかもうわかってない状況だ。

間久部の目の前には2本の柱で巨大な刃物が吊るされているギロチンがあったのだった。フランスで古くから使用され始めた執行装置で、この吊るされた刃物の下に受刑者の首をセットし、その大きな刃物を落として受刑者の首を斬首する(切り落とす)のである。

看守長「お前は数えきれないほどの事件を起こし、多くの人々を殺めた。お前は”今日”、”死”によって罪を償うのだ。」
「きょ…今日!?え…ぼ…僕死ぬの!今ぁ…!?」
「そうだ。もうこれは決定事項だ。」
「あ…あ、あの刃物で……!?😨」
間久部は改めてその恐ろしいものを見て一瞬の恐怖でゾッとしたのだった!
「そうだ。じゃあ、そこの二人、受刑者を処刑台へ連れて行け!」
「はっ!」
「そ、そんな馬鹿な!冗談じゃない!やめてくれーーっ!」
どん!バシバシっ!!

刑務官「うわっ!」

間久部は日の光を浴びたのか、少し活力が湧き、突如体を激しく動かし二人の刑務官を振り払い、手錠がかけられたままその場から走り出したのだった!

刑務官「こらァ!まてーーー!!」
間久部「いやだぁ!あんなのに切断されてたくない!」
間久部は最後の力を振り絞って走るに走った…!

間久部「こんな場所去ってやるんだ!ここは俺の居場所じゃないんだ!おれはやらなくちゃいけない野望があるんだっ!」
刑務官「こいつめ!急に狂っていやがる!」
まるで解放した気分のように、間久部はこう騒いで走るのであった…!
「はははーー!!やったぞ!!ここは外だぁ!シャバだぁ!俺はまた世界を下すチャンスが……!」
活力を取り戻した間久部は、この状況でもなお潜在的に思い込んでいる野望の思いを解放させ逃げ走るのだった!
刑務官「くそー!なんて足の速さだ!」
痩せ細った体でもすばしっこく、中々刑務官でも捕まえられなかったが…

看守長「ふん、やむを得ん。」
バキュバキューン!💥💥
間久部「うわあああああああーーーー!!」

看守長は間久部の背に銃弾を二発撃ったのだった…!
撃たれた間久部はそのまま銃弾に打たれて血を流し苦しむのだった…。
看守長「馬鹿な奴め。まったく組織のボスの狂いっぷりは半端ない…手間をかせさせおる。」
そして間久部は刑務官に捕獲され、再びギロチンにある処刑台のとこへ連れ戻されてしまうのだった…。

間久部「うあああーー!痛いよー!くそーーー!なんでだぁーー!なんでこんな目にいーー!」
刑務官「看守長…苦しんでいますがどう致しますか?」
看守長「構わん。もうこれで斬首されるんだ。まったく苦しませずに死ねるギロチンがあるというのに。」
間久部「いやだぁああーー!死にたくない!助けてくれーーー!」
刑務官「大人しくしろ!もう終わりなんだっ!」
「僕は皇太子なんだぁー!神なんだっ!死なんてないんだ!」
「いい加減にしろ!」

そして間久部の身体が刑務官によって強引にギロチンの下にセットされたのだった!
もう間久部は逃げられない!銃弾を撃たれ、力で逃げ出すことも不可能だからだ。
「うわああーーー!やめてーーーーー!」
刑務官「看守長!セットが完了いたしました!」
「ご苦労だった。さあ、間久部…!もう騒ぐない…一瞬で終わる。最後に何か言い残すことはあるか…?」

「うう……」
間久部は全てを悟ったのだった。
もう命乞いもやめ、自分の心の中で思っている最後の言葉を発した…


「うう……黒男……僕は…お前が……好き…だった………
僕は……こんな世界……滅ぼしたかった………」

看守長「よし、降ろせ!」


ガシャン…!











202x年6月、
間久部緑郎は、
フランスサンテ刑務所にて
死刑が執行され、
処刑された。


享年25歳だった。












ーーー

その翌日、ブラックジャックこと間黒男は日本に帰還していたのだった。
そして自分の診療所のテレビにて、間久部が処刑された事実を知るのであった。
『速報をお伝えします。今日の正午、フランスパリのサンテ刑務所にてマクベ結社の首領、間久部緑郎の死刑が執行されました。隠された組織の中で全体未聞の大事件を数々起こし、更に巧妙な手口で多くの実業家や政府関係者を欺き、国家の支配さえ揺るがしかねないような犯行をしでかした凶悪犯罪者が処刑された事で、世界中は更なる驚愕の嵐で一部のネットではサーバーダウンを起こし接続が困難に…』

「まぁ、こんなに話題になる程のおちょよちい人がいるもんなのよねー。」
その報道を黒男の診療所の同居人であるピノコという女の子と、食事をしながら一緒に見ていたのだった。ピノコは見た目は幼児ぐらいの姿をした女の子だが、知能は一応21歳らしい。そのため黒男の奥さんだと自称しているが、黒男はそのつもりなどなく、寧ろその可愛げな姿から娘のように扱っているようだ。
黒男「間久部か…」(とうとうあいつが…)
ピノコ「ちょういえば先生を攫った人からの手紙も”マクベ”って書いてあったらわねー。」
「え?そうかい?」
「先生を攫って行った人…今のテレビに出ている人と同じ人なの…?」
「し…そんな奴は知らんよ…見間違えじゃないかい?」
「あやちい…先生…らんか隠してない?」
「隠すことなんてないさ」少し汗を流す黒男…
「浮気はいけまちぇんよ。行き先で女なんかにおちょわれたりとかちてないよねぇ?」
「女?ははは…女なんて全くいなかったよ。私が捕まったとこは男一色の場所だった。お前が気にしているようなことはないよ。」

テレビ『そうですね…マクベは同性愛者だったらしくて…。でもその相手の男の手柄もあって、首領の逮捕に行き着いたみたいだそうで…』

ピノコ「むっ!」
ピノコはテレビのニュースを見てまた疑った。
黒男はそれを聞いてギクっ!と感じた…!
黒男(警察には事前に私の名前は出さぬようにしておいてよかったぁ……)
と思った黒男だった。
ピノコ「それでも気になゆわよ…。」
「な、なんでだい?」
「だって男の人らって最近は同じ性別の人をちゅきになゆ事が多いらちいかやさ。」
「俺が男の人と?…ははは…下らんこと言うなよ。俺はホモじゃないよ。」
「男の人でも浮気はゆるちまちぇんよ。」
「ピノコ、男は女が考えるほど簡単に同性なんかに引き込まれないよ。例え友人であってもその間にはライバル心やプライドとか、お互いに引き付けないような、寧ろ対立し合う感情があるもんだ。容易に身体を惹きつける感情など滅多にあるもんじゃない。」
「れも先生はその気がなくても、相手が強引に求めて引き込んできたやどうすんのよさ?…」
答えにくい質問だ…実際に何度かやむを得ずにやりあってしまった過去があるのだから…。黒男はひとまず否定的に誤魔化すことにした。
「考えすぎだ。そんなことはあり得んよ」
「こんな可愛いレレイがいゆのに、男とすゆなんて浮気以上の問題やわさ。」
黒男「ピノコ…お前さんは最近メディアの情報に長され過ぎだ。同性愛なんてかのBL漫画ほどよくあるもんじゃないぞ。あくまで創作でそのような現象が多くあるように作り出しているに過ぎん。現実ではそんなに多くないのだ。」
黒男はピノコに正しいことを教え直すことにしたようだ。
「そうなのかちやねぇ…」
「医者の私がいうんだ。」
それでも数日間も拉致されていた旦那(黒男)のことを考えると、その可能性はピノコの頭の中からは払拭できないでいたのだった。
「とにかく俺は無事に帰ってこれたんだ。それでいいだろ?俺もあの時は大変だったよ。」
「もう…あの時は毎日毎日心配で寝られなかったんだからさー!」
「ごめんな、ピノコ。心配かけさせていたお詫びだ。明日はお前さんの好きな場所へ連れてってやろう。今日は一緒に風呂でも入ろうか?」
「え!?いいのー??」
「ああ、お前さんに背中を流してもらいたいな。」
「わーい💕」

黒男はその後、(黒男をフランスへ呼び寄せるための)あの時の間久部の手紙を必死で探し出し、外へ持っていくのだった。そして海の港へ向かい、その手紙を見てこう呟いたのだった。
「友達か…………本当の友達とは、一体なんだろうな…」
黒男はその手紙をビリビリ破り、海へ舞い散るように捨てた。

暗黒街の皇太子間久部緑郎……
彼は悪魔の心と共に歪な愛によって生きていた人間だった…黒男という同性の男を躊躇なくこよなく愛し、多くの規則で束縛される世の実態を嫌悪し、彼は周りの状況に囚われず、そして反発的、無法的、反逆的に、ありのままに生きたのだ。

変わらぬ現状維持を求め続ける世界、戦争が長きにわたって行われない時代、しかしその世界も日々平穏な日常を求めるあまり、次々と刺激的なものを規制する時代になっていった。文化の発展と共に無造作に規則やしきたりなどを次々に増やし、恥と思われる感覚までも無造作に増やし、統一教育でやたらと物事を統一させて個性さえ消失させる社会の実態…人々の心は本能を十分に発揮させる事が出来ず、生きづらい建前の合理社会をどんどん作っていくのだ。
それゆえ、形式化した人生に従ってしまった人間は、的から外れた生き方をした人間を、先入観から得た偏見で極度に差別してしまう時代。
世界はいつか間久部のような不満が爆発した人間が現れるかもしれない。
次にそのような人物が現れたら、もし巨大な組織をつくり、各国の首相を欺いて操り、核兵器なんかを手中に収められたら…。国家的事件の濡れ衣を国に着せられて戦争などを起こされたりしたら…さらに膨大な資金で人工衛星を作り出し、強い電磁波を生み出して巨大な隕石を呼び寄せられたりしたら……
いつか世界は人によって滅ぼされるかもしれない…。

しかし、こんなスケールの大きいことは、しょせん黒男の日常には関係ないことだった。

黒男は手紙を破り捨てたあと、黒いコートをなびかせながら、どこかへ去っていったのだった。

     The End ー完結ー

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